スマイル(1)
「スマイル」
「なっち!起きて!」
あたしは目が覚めた。
ここは・・・楽屋・・・
「さやか・・・」懐かしい声。
「なっち、楽屋の中まで寝坊してどうすんや」
裕ちゃんが笑いながら言う。
「今日はなっちが主役なんだからね。」
福ちゃん!
・・・そうだ!今日はあたしの卒業コンサートだったんだ。
「いよいよだね。」
かおりが寂しげに笑う。
「でも、タンポポ1位になれたじゃない」
「うん。この季節の街中にあたしたちの歌が流れてるのがうれしい。」
「最高のクリスマスだよ。」あやっぺが話に入ってきた。
「さやかも圭ちゃんも、ユニットデビューできたし。」と矢口。
さやか、圭ちゃん、そして新メンの和ちゃんもにっこり微笑んでいる。
もうすっかり『ロックモニ』の顔だ。
もう一人の新メン早紀ちゃんは寂しそうな顔をする。
「大丈夫。あたしのパートナーなんだからさ。」
福ちゃんが駆け寄って元気つけてる。
「しかし、今年もつんくさんに振り回されたな。『二次追加オーディションで2人いれて
今度こそ10人にするんや。』て言って、入れたの糀田早紀ちゃん一人やったし、そしたら、
つんくさん小室さんのところに行って、『最終審査まで残った中富和美、うちに下さい』って
言って、娘。に入れるし。」
あきれた声で裕ちゃんが言う。
「そうだよね。しかも秋になったら、なっちの卒業ソロデビュー大決定だもの。」と福ちゃん。
「でもさ、急遽アルバムからシングルカットした『ふるさと』がヒットしたし。
2曲目のさ『ネヴァフォゲ』、あすかのなっちへの想いが出てるし。」
「やめてよ、矢口。照れるじゃん。」と福ちゃん。
「なっちの写真集は売れてるし、ソロ一発目の『トウモロコシ』も売れ行き
いいからね。前途洋々よ。頑張れ、卒業者1号!」とさやかが言う。