日生劇場リターンズ

人間って、ばかで鈍感で他人のことなぞお構いなしにずうずうしく生きてるヤツの方がずーっと楽しく生きれるんじゃないか、頭が良くて、物事の見通しが出来て、
繊細で、気を使うやつにはこの世界は過酷すぎる。

そんな感想を抱いた舞台であった。

圭ちゃんが出演している「羅生門」の舞台観劇で日生劇場に行った。
圭ちゃんは思っていた以上に頑張っていた。ハロプロなんちゃってミュージカル、
馴れ合いドラマしか経験のない彼女が、本当のタレントになるための試金石。
他の役者さんに負けないよう頑張っていた。
意外と舞台の方がうまいかもね、オーバーな演技が合うから。
何せ、主要な役の中では「一番年下」の女性なので、かわいいキャラが回ってきて
「おばちゃん」であることを忘れてしまう。これもまたハロプロの感覚のズレ。
23才なんてまだまだ若いのに。
とてもはじけたかわいさを出していた。
深沢敦さんと並び、おそらく「歌唱力」でも役の上で重要であったから期待されたのだろう。

仲村トオルも思った以上に好演。この人、パトリック・スウェイズのように表情が硬くて好きじゃないのだが、なかなか演技に深みが出たと思う。
冨田靖子も持ち前の臭い芝居が舞台の方に合う。
こんなアイドル出身の2人がきっちり経験を重ねていって「役者」になっていくのを見て、ハロプロ女優陣もいつかばかにされないよう、地道に力つけて欲しい。
(10代からおっぱい丸出しして頑張ってきた原田美枝子さんもまた同じかな)
ルリルリこと浅丘ルリ子様は大スターでした。トチリがあっても大スター(笑)
小柄な人なあのに大きく見えるのはさすが。
ただし、おそらく人間で言う20代ぐらいの設定の役でトオル君と恋に落ちるのは
無理があるな(笑)。残念ながら声がおばあちゃんだな。声の衰えだけはしょうがないけど。

照明をフルに使い、光と闇のコントラストを使った星田さんの初舞台演出は上出来だった。京都での靖子ートオルのシーンの後、正面の障子が飛ばされ人が出てきて乱闘シーンになるところは、あたかも映画のような場面のつなぎ。
脚本は芥川竜之介の短編をつなぎ合わせて作った作品。「かっぱ」たちを狂言回しに使い、時空を越えて、小説の世界を劇中劇にするのだけど、多くのルリルリと同世代のお客さんは、わからなくなったんじゃないかな。
前にいたお客さん2人、1幕で帰っちゃったし(笑)